地域おこしは、みんなのもの。土地と人と関わり合う、はじまりの旅を広めたい (完)

離島、農山漁村

村おこしNPO法人 ECOFF

マーケティング基礎調査

←(4)へ

中間報告を経て、「親善大使」担当班が最終成果物として作成するのは、応募要綱が掲載されたPRツールとしてのチラシということに。課題は「親善大使」という役割の価値と魅力をいかに表現し、ポジティブな応募動機に結びつけていくかです。チーム内からは、

  • 「親善大使の肩書きを利用して、やりたいことをやってもらえるように」というECOFFの方針の中身を、具体的に示す必要があるのでは?
  • 「あなたの好きなあの地域のことをもっと知ってもらいませんか」というメッセージで、「推しメンを理解してもらえるとうれしい!」みたいな感覚に訴えかけられないか?

などの意見が上がりました。

一方、「村おこし旅」の課題は、旅のコンセプトである“ディスカッション”が醸し出す重さ、硬さをどう軽減するかでした。そこで、参加意欲を測るアンケート調査の前段として、ECOFF理事で種子島在住の山田文香さん、現地でディスカッション旅を開催する立場となる屋形島コース世話人の後藤猛さん、三陸漁場コース世話人の阿部正幸さんを交え、名称やディスカッションの方向性などについて議論。そこでは次のような意見が上がりました。

  • 「社会問題というのは、実は自分ごとなんだよ」を提起できるとよいのでは。ディスカッションより「ダイアローグ(対話)」がいい。(後藤さん)
  • 確かに、ECOFFを因数分解していくと「対話」が重要要素として浮かぶ。(阿部さん)
  • ディスカッションは四角く、対話は丸いイメージ。(プロボノ・増永容啓<やす>さん)
  • 自分が種子島訪問で体験したのは「対話」だったと思っている。ディスカッションは答えを出すが、対話では出さない。(プロボノ・安藤剛平<アンディ>さん)
  • 屋形島では、右脳で自然を感じ、左脳で対話することを、交互にやってもらって体験を深めるということをすでにやっている。(後藤さん)
  • この旅の位置づけは「誰と語るか>何を語るか」「語ることで生まれる交流・気づき>議論のアウトプット」「食卓・こたつ・青空教室>会議室」のイメージ。(プロボノ・塚田芙貴子<ふっきー>さん)
  • 参加する側、受け入れる側、対話テーマのミスマッチが起きないよう、事務局として事前カウンセリングをする案もあり。(山田さん)
企画の源となったのは、プロボノチームが現地訪問で体験した“対話”の時間。写真は種子島の農業者・古市道則さんの作業場を訪れたときのもの。

「親善大使」「村おこし旅」両班とも、ときにECOFFのメンバーも交えながら企画の肉づけを進行。種子島へ再訪してその案の検証をする計画は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出を受けて実現しなかったものの、ブラッシュアップを図った両案を携え、最終報告会に臨みました。

 「親善大使」最終報告

最終報告会には、ECOFFとプロボノチームのメンバーのみならず、日本中の離島、田舎でECOFFの世話人として活躍する人たちや、ECOFFの旅の参加経験者などが集った。

親善大使募集のキャッチフレーズ(チラシタイトル)は、

「お気に入りの離島・農山漁村を活性化しませんか?
——いま住んでいる場所からでも、お気に入りの地域の活性化に取り組めます!」

に決定。都会で本業を持ちながら、愛着ある地域に関われる特性をアピールしています。

■親善大使募集チラシの掲載項目

ECOFFの親善大使とは?
特定の地域に専念して、受け入れる現地と、旅の参加者を遠隔でサポートする役割を担うことを説明

地域・参加者・親善大使の関係を表すためにプロボノチームが作成した図。一方通行ではなく相互・循環の関係が描かれているところに、ECOFF代表・宮坂大智さんのこだわりが反映されている。

村おこしNPO法人ECOFFとは?
「地域活性化を、みんなのものに」を使命としてボランティアツアーを企画している団体であること、「農林漁家と都市の交流を活発にし、日本に古くから息づく豊かな自然と文化を守っていく」世界を目指していることを、代表・宮坂さんの言葉を引用しながら説明

募集要項
活動内容(プログラム内容の検討やコミュニケーション)/活動時間の目安と活動場所(現地に赴かず活動可)/求める人物像(担当希望地域にネットワークがあるなど)/特典/任期 ほか

「村おこし旅」最終報告

コンセプトは「対話する旅」に決定。企画書では、長期滞在をできない社会人が、2泊3日程度の短い期間で地域の人と深い関係を築けるよう、受け入れ地域側・旅人側の双方が参加する活動の必要性を説明しています。

■村おこし旅企画書の掲載項目(抜粋)

プログラム名称(案)
「対話する旅 for 村おこし
——観光でも、移住でもない 島の人と対話する旅」

プロボノチームが作成した「対話する旅 for 村おこし」募集ウェブページのモックアップ。

想定ターゲット
離島(田舎)好き/意義重視(単なる観光ではなく、何か有意義な時間を過ごしたい)

「対話」を軸としたプログラムのスケジュール案
種子島案/屋形島案(各3日間想定)

旅の要項
日程(2泊3日または3泊4日を想定)/実施時期/募集形態(対話しやすい&費用抑制可能な“パッケージツアー型”を基本と想定)/参加費 など

価格設定(案)の考え方
ECOFF、世話人、対話の相手などへの報酬額算出の考え方

サービスの特徴
旅前・旅中・旅後までECOFFが伴走する旨を説明

参加意欲調査のアンケートフォーム
回答者の属性、参加意欲の有無などを設問

ほか

ワークショップで実現への期待値アップ

以上、プロボノチームが最終報告を終えると、主に現地世話人からは、日数や費用感など受け入れ者目線の現実的な質問や意見が上がりました。これに対し、代表の宮坂大智さんは「スケジュールも料金も、これから作っていく部分。地域ごとの条件の違いも踏まえ、今日いただいた提案を今後への土台としていきます」と展望。具体的なアイディアと打ち手が豊富に詰まった最終報告は、無事に合意、完了となりました。

最後は、最終報告を踏まえてECOFF主催のワークショップ。

  • 「村おこし旅」セッション1:こんな村おこし旅はいやだ!
  • 同2:理想の村おこし旅◯◯島コースはこれだ+対話テーマ2つ
  • 「親善大使」セッション1:人気ワースト1の親善大使◯◯さんってどんな人?
  • 同2:メディアで注目!◯◯コース親善大使の働きぶり

のお題で、ざっくばらんにディスカッションをしました。ECOFFスタッフの俯瞰の目線、受け入れ者であり地元生活者である世話人たちの実感、プロボノチームの旅人目線が交差した意見交換は、時間オーバーの盛り上がりに。「具体的な案をたくさん聞けました。世話人のみなさんと相談しながら、面白い『対話する旅』をつくっていけそう」(ECOFF理事・山田さん)、「『親善大使』という役割をこれからどう育てていけばよいか、参考になりました」(ECOFF代表・宮坂さん)と、収穫の多い時間となったようです。

距離を越えてのパワフルな協働を終えて

ここまで4カ月強、ほぼ遠隔で協働し、充実の成果へと結びつけたECOFFとプロボノチーム。最後に、メンバーの感想と労いの言葉を紹介します。

台湾在住のため、プロボノチームと現場での時間を共有することがかなわなかったなか、オンラインでの丹念なやりとりを重ねたECOFF代表・宮坂さんは、「今回のこの企画に、世話人の方たちが興味を持って関わってくれたことがうれしい。土台の部分は、プロボノチームのみなさんが本当にたくさんの議論を重ねて作ってくださいました。ここからは自分たちが、ECOFFが掲げる大きな目標につなげられるよう、活かしていきます」と語りました。

種子島で、プロボノチームとの議論に充実感を語っていたECOFF理事・山田さんは、「ECOFFのためにこれだけ時間を割いてくださり、これだけのものをつくってくださったプロボノチームのみなさんに、終始、感謝感動でした」と振り返りました。

そして、プロボノチームから。

川崎豪久(デッサ)さん「故郷の種子島のために、これから何かしたい思いで参加しましたが、プロジェクトを通じて、人のつながりが大事だという学びを改めて得られました」

佐藤弘樹(ひろき)さん「個人的に縁のある東北へ行く機会を得られて、いろいろ考えさせられました。ふだんの仕事とは別の場所で、こうしてみなさんとアウトプットできてよかった」

野上優子(Yuko)さん「チームのみなさんがすごい方たちばかりで、感動しました。毎週毎週、離島のプロジェクトに取り組んでいるうちに、すっかり離島好きになりました」

實廣亜希子(じっちゃん)さん「思い描いていたプロボノ活動より、3倍も5倍も濃い時間。みなさん、とても前向きで、負けていられないなという気持ちにさせてもらいました」

田中さとみ(さとみん)さん「みなさんのパワフルさに刺激を受けました。これだけ接していたのに、個人的には知らない部分も多いので、これからいろいろな話をしていきたいです」

吉田三紀(よしみき)さん「その気になればオンラインでもここまでできるんだ、という可能性を知ることができたプロジェクトでした。もっとみんなで雑談もしたかった!」

安藤剛平(アンディ)さん「個人的には都会好きですが、種子島へ行き、そこで暮らす自分をリアルにイメージできました。ソーシャルな領域の支援活動を、これから本業にも近づけていきたい」

増永容啓(やす)さん「10人と大所帯でしたが、走りすぎなくらい走るチームでした!ハードルは高いものの、縁のある島で個人的に親善大使をやってみてもいいかな、と考えています」

日比野理人(あやとん)さん「村おこし旅は、“観光ではない地域との関わり方”を考えていた自分にとって、しっくりくる企画になりました。実現したら参加したいです」

締めくくりは、10人で2つのテーマを進行するという、負荷の高いこのプロジェクトのマネジャーを務め上げた塚田芙貴子(ふっきー)さんから。

「ECOFFさんも濃いですが、このチームのみなさんも濃くて、ここまで一緒にやってこられて楽しかったです。懇親会を必ず開きます。会いましょう!」

現地訪問も、チーム内の対面機会も限られた難しい環境の中、一大プロジェクトを完了させた10人の最後の一枚。

【プロジェクト進展】
12月9日〜2月3日 チーム内週次ミーティング(オンライン)
12月中旬〜 「村おこし旅」「親善大使」各チームミーティング及び作業(オンライン)
12月16日 ECOFF世話人との「村おこし旅」ミーティング(オンライン)
12月23日 ECOFFとの「親善大使」ミーティング(オンライン)
12月31日 ECOFFとの「村おこし旅」ミーティング(オンライン)
1月20日・21日 ECOFFとの「村おこし旅」「親善大使」ミーティング(オンライン)
2月9日 ECOFFへの最終報告会/ECOFF主催ワークショップ

村おこしNPO法人ECOFF(以下、ECOFF)への中間報告会を終えたプロボノチームは、そこで共有された課題を一つひとつ解決しながら、最終成果物提出の準備を進めていった。「親善大使」担当班は、業務内容や募集に必要な要素を具体化するとともに、新設するこの役職の魅力をどう打ち出すかを模索。「村おこし旅」担当班は、この旅のコンセプトである“ディスカッション”の中身を検討するなど、企画案を煮詰めていった。

プロボノチーム

ふっきーさん(プロジェクトマネジャー)

プロボノ活動は初。人と人との交流の拡大が人生のテーマの一つ。「仕事以外の形でも誰かに喜んでもらうことができたらうれしいです」

やすさん(マーケッター)

子どもの離島留学をきっかけに離島の魅力と大変さを知る。「お世話になっている離島とECOFFをつなぎ、お互いにとってよりよい未来にできたらうれしい」

アンディさん(マーケッター)

NPOやソーシャルビジネスのブランディング・マーケティングの経験を積みたいと思い、参加。「地域活性とボランティアの掛け合わせに興味があります」

ひろきさん(マーケッター)

学生時代に数十回訪れた農山村地域や離島の課題解決に関心があり、実践の場を求めて参加。「課題解決に少しでも貢献できればと思います」

じっちゃん(マーケッター)

プロボノ活動は自分の経験や行動で社会に貢献できるすてきな活動だと思い、参加。「関わった方に喜んでいただくのが一番。Happyを生み出すのに全力を尽くします」

さとみんさん(マーケッター)

海外で予定されていた活動がコロナの影響で実現せず、日本の地域に貢献できることをと思い参加。「島の暮らしや文化が持続されるような仕組みづくりに貢献したい」

Yukoさん(マーケッター)

昨年初めてプロボノを知り、自分でも役立てる仕事があるのではと思い参加。「その土地が持っているよいところを伸ばし、活性化するお手伝いができれば」

よしみきさん(マーケッター)

本業では環境や社会、従業員に配慮した企業づくりのコンサルや編集を手がける。プロボノ活動は3度目。「いろいろな方と関われることを楽しみにしています」

デッサさん(マーケッター)

プロボノ活動は初。将来的に、出身の離島に役立つ活動をしたいとの思いで参加。「地元の活性に役立てられるような経験を身につけたい」

あやとんさん(マーケッター)

本業では地域の観光支援を手がける。仕事とプライベート以外の第3の時間の使い方として参加。「自分の力を使って離島のお手伝いをしたい」

地域団体

地域概要

これまで活動してきた地域は、国内、一部海外の32地域(活動休止中の地域を含む)。離島をはじめ、大都市から離れたエリアが多い。

団体概要

2010年に活動を開始し、2011年にNPO法人化。主要事業は、住み込み型のボランティア旅「村おこしボランティア」の企画運営。

プロジェクト概要

活動地域と参加者の間で橋渡し役を務める「親善大使(仮称)」の募集要項作成。社会人を対象とする「村おこし旅(仮称)」の企画立案。

村おこしNPO法人ECOFF(以下、ECOFF)への中間報告会を終えたプロボノチームは、そこで共有された課題を一つひとつ解決しながら、最終成果物提出の準備を進めていった。「親善大使」担当班は、業務内容や募集に必要な要素を具体化するとともに、新設するこの役職の魅力をどう打ち出すかを模索。「村おこし旅」担当班は、この旅のコンセプトである“ディスカッション”の中身を検討するなど、企画案を煮詰めていった。

プロボノチーム

ふっきーさん(プロジェクトマネジャー)

プロボノ活動は初。人と人との交流の拡大が人生のテーマの一つ。「仕事以外の形でも誰かに喜んでもらうことができたらうれしいです」

やすさん(マーケッター)

子どもの離島留学をきっかけに離島の魅力と大変さを知る。「お世話になっている離島とECOFFをつなぎ、お互いにとってよりよい未来にできたらうれしい」

アンディさん(マーケッター)

NPOやソーシャルビジネスのブランディング・マーケティングの経験を積みたいと思い、参加。「地域活性とボランティアの掛け合わせに興味があります」

ひろきさん(マーケッター)

学生時代に数十回訪れた農山村地域や離島の課題解決に関心があり、実践の場を求めて参加。「課題解決に少しでも貢献できればと思います」

じっちゃん(マーケッター)

プロボノ活動は自分の経験や行動で社会に貢献できるすてきな活動だと思い、参加。「関わった方に喜んでいただくのが一番。Happyを生み出すのに全力を尽くします」

さとみんさん(マーケッター)

海外で予定されていた活動がコロナの影響で実現せず、日本の地域に貢献できることをと思い参加。「島の暮らしや文化が持続されるような仕組みづくりに貢献したい」

Yukoさん(マーケッター)

昨年初めてプロボノを知り、自分でも役立てる仕事があるのではと思い参加。「その土地が持っているよいところを伸ばし、活性化するお手伝いができれば」

よしみきさん(マーケッター)

本業では環境や社会、従業員に配慮した企業づくりのコンサルや編集を手がける。プロボノ活動は3度目。「いろいろな方と関われることを楽しみにしています」

デッサさん(マーケッター)

プロボノ活動は初。将来的に、出身の離島に役立つ活動をしたいとの思いで参加。「地元の活性に役立てられるような経験を身につけたい」

あやとんさん(マーケッター)

本業では地域の観光支援を手がける。仕事とプライベート以外の第3の時間の使い方として参加。「自分の力を使って離島のお手伝いをしたい」

地域団体

地域概要

これまで活動してきた地域は、国内、一部海外の32地域(活動休止中の地域を含む)。離島をはじめ、大都市から離れたエリアが多い。

団体概要

2010年に活動を開始し、2011年にNPO法人化。主要事業は、住み込み型のボランティア旅「村おこしボランティア」の企画運営。

プロジェクト概要

活動地域と参加者の間で橋渡し役を務める「親善大使(仮称)」の募集要項作成。社会人を対象とする「村おこし旅(仮称)」の企画立案。

←(4)へ

中間報告を経て、「親善大使」担当班が最終成果物として作成するのは、応募要綱が掲載されたPRツールとしてのチラシということに。課題は「親善大使」という役割の価値と魅力をいかに表現し、ポジティブな応募動機に結びつけていくかです。チーム内からは、

  • 「親善大使の肩書きを利用して、やりたいことをやってもらえるように」というECOFFの方針の中身を、具体的に示す必要があるのでは?
  • 「あなたの好きなあの地域のことをもっと知ってもらいませんか」というメッセージで、「推しメンを理解してもらえるとうれしい!」みたいな感覚に訴えかけられないか?

などの意見が上がりました。

一方、「村おこし旅」の課題は、旅のコンセプトである“ディスカッション”が醸し出す重さ、硬さをどう軽減するかでした。そこで、参加意欲を測るアンケート調査の前段として、ECOFF理事で種子島在住の山田文香さん、現地でディスカッション旅を開催する立場となる屋形島コース世話人の後藤猛さん、三陸漁場コース世話人の阿部正幸さんを交え、名称やディスカッションの方向性などについて議論。そこでは次のような意見が上がりました。

  • 「社会問題というのは、実は自分ごとなんだよ」を提起できるとよいのでは。ディスカッションより「ダイアローグ(対話)」がいい。(後藤さん)
  • 確かに、ECOFFを因数分解していくと「対話」が重要要素として浮かぶ。(阿部さん)
  • ディスカッションは四角く、対話は丸いイメージ。(プロボノ・増永容啓<やす>さん)
  • 自分が種子島訪問で体験したのは「対話」だったと思っている。ディスカッションは答えを出すが、対話では出さない。(プロボノ・安藤剛平<アンディ>さん)
  • 屋形島では、右脳で自然を感じ、左脳で対話することを、交互にやってもらって体験を深めるということをすでにやっている。(後藤さん)
  • この旅の位置づけは「誰と語るか>何を語るか」「語ることで生まれる交流・気づき>議論のアウトプット」「食卓・こたつ・青空教室>会議室」のイメージ。(プロボノ・塚田芙貴子<ふっきー>さん)
  • 参加する側、受け入れる側、対話テーマのミスマッチが起きないよう、事務局として事前カウンセリングをする案もあり。(山田さん)
企画の源となったのは、プロボノチームが現地訪問で体験した“対話”の時間。写真は種子島の農業者・古市道則さんの作業場を訪れたときのもの。

「親善大使」「村おこし旅」両班とも、ときにECOFFのメンバーも交えながら企画の肉づけを進行。種子島へ再訪してその案の検証をする計画は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出を受けて実現しなかったものの、ブラッシュアップを図った両案を携え、最終報告会に臨みました。

 「親善大使」最終報告

最終報告会には、ECOFFとプロボノチームのメンバーのみならず、日本中の離島、田舎でECOFFの世話人として活躍する人たちや、ECOFFの旅の参加経験者などが集った。

親善大使募集のキャッチフレーズ(チラシタイトル)は、

「お気に入りの離島・農山漁村を活性化しませんか?
——いま住んでいる場所からでも、お気に入りの地域の活性化に取り組めます!」

に決定。都会で本業を持ちながら、愛着ある地域に関われる特性をアピールしています。

■親善大使募集チラシの掲載項目

ECOFFの親善大使とは?
特定の地域に専念して、受け入れる現地と、旅の参加者を遠隔でサポートする役割を担うことを説明

地域・参加者・親善大使の関係を表すためにプロボノチームが作成した図。一方通行ではなく相互・循環の関係が描かれているところに、ECOFF代表・宮坂大智さんのこだわりが反映されている。

村おこしNPO法人ECOFFとは?
「地域活性化を、みんなのものに」を使命としてボランティアツアーを企画している団体であること、「農林漁家と都市の交流を活発にし、日本に古くから息づく豊かな自然と文化を守っていく」世界を目指していることを、代表・宮坂さんの言葉を引用しながら説明

募集要項
活動内容(プログラム内容の検討やコミュニケーション)/活動時間の目安と活動場所(現地に赴かず活動可)/求める人物像(担当希望地域にネットワークがあるなど)/特典/任期 ほか

「村おこし旅」最終報告

コンセプトは「対話する旅」に決定。企画書では、長期滞在をできない社会人が、2泊3日程度の短い期間で地域の人と深い関係を築けるよう、受け入れ地域側・旅人側の双方が参加する活動の必要性を説明しています。

■村おこし旅企画書の掲載項目(抜粋)

プログラム名称(案)
「対話する旅 for 村おこし
——観光でも、移住でもない 島の人と対話する旅」

プロボノチームが作成した「対話する旅 for 村おこし」募集ウェブページのモックアップ。

想定ターゲット
離島(田舎)好き/意義重視(単なる観光ではなく、何か有意義な時間を過ごしたい)

「対話」を軸としたプログラムのスケジュール案
種子島案/屋形島案(各3日間想定)

旅の要項
日程(2泊3日または3泊4日を想定)/実施時期/募集形態(対話しやすい&費用抑制可能な“パッケージツアー型”を基本と想定)/参加費 など

価格設定(案)の考え方
ECOFF、世話人、対話の相手などへの報酬額算出の考え方

サービスの特徴
旅前・旅中・旅後までECOFFが伴走する旨を説明

参加意欲調査のアンケートフォーム
回答者の属性、参加意欲の有無などを設問

ほか

ワークショップで実現への期待値アップ

以上、プロボノチームが最終報告を終えると、主に現地世話人からは、日数や費用感など受け入れ者目線の現実的な質問や意見が上がりました。これに対し、代表の宮坂大智さんは「スケジュールも料金も、これから作っていく部分。地域ごとの条件の違いも踏まえ、今日いただいた提案を今後への土台としていきます」と展望。具体的なアイディアと打ち手が豊富に詰まった最終報告は、無事に合意、完了となりました。

最後は、最終報告を踏まえてECOFF主催のワークショップ。

  • 「村おこし旅」セッション1:こんな村おこし旅はいやだ!
  • 同2:理想の村おこし旅◯◯島コースはこれだ+対話テーマ2つ
  • 「親善大使」セッション1:人気ワースト1の親善大使◯◯さんってどんな人?
  • 同2:メディアで注目!◯◯コース親善大使の働きぶり

のお題で、ざっくばらんにディスカッションをしました。ECOFFスタッフの俯瞰の目線、受け入れ者であり地元生活者である世話人たちの実感、プロボノチームの旅人目線が交差した意見交換は、時間オーバーの盛り上がりに。「具体的な案をたくさん聞けました。世話人のみなさんと相談しながら、面白い『対話する旅』をつくっていけそう」(ECOFF理事・山田さん)、「『親善大使』という役割をこれからどう育てていけばよいか、参考になりました」(ECOFF代表・宮坂さん)と、収穫の多い時間となったようです。

距離を越えてのパワフルな協働を終えて

ここまで4カ月強、ほぼ遠隔で協働し、充実の成果へと結びつけたECOFFとプロボノチーム。最後に、メンバーの感想と労いの言葉を紹介します。

台湾在住のため、プロボノチームと現場での時間を共有することがかなわなかったなか、オンラインでの丹念なやりとりを重ねたECOFF代表・宮坂さんは、「今回のこの企画に、世話人の方たちが興味を持って関わってくれたことがうれしい。土台の部分は、プロボノチームのみなさんが本当にたくさんの議論を重ねて作ってくださいました。ここからは自分たちが、ECOFFが掲げる大きな目標につなげられるよう、活かしていきます」と語りました。

種子島で、プロボノチームとの議論に充実感を語っていたECOFF理事・山田さんは、「ECOFFのためにこれだけ時間を割いてくださり、これだけのものをつくってくださったプロボノチームのみなさんに、終始、感謝感動でした」と振り返りました。

そして、プロボノチームから。

川崎豪久(デッサ)さん「故郷の種子島のために、これから何かしたい思いで参加しましたが、プロジェクトを通じて、人のつながりが大事だという学びを改めて得られました」

佐藤弘樹(ひろき)さん「個人的に縁のある東北へ行く機会を得られて、いろいろ考えさせられました。ふだんの仕事とは別の場所で、こうしてみなさんとアウトプットできてよかった」

野上優子(Yuko)さん「チームのみなさんがすごい方たちばかりで、感動しました。毎週毎週、離島のプロジェクトに取り組んでいるうちに、すっかり離島好きになりました」

實廣亜希子(じっちゃん)さん「思い描いていたプロボノ活動より、3倍も5倍も濃い時間。みなさん、とても前向きで、負けていられないなという気持ちにさせてもらいました」

田中さとみ(さとみん)さん「みなさんのパワフルさに刺激を受けました。これだけ接していたのに、個人的には知らない部分も多いので、これからいろいろな話をしていきたいです」

吉田三紀(よしみき)さん「その気になればオンラインでもここまでできるんだ、という可能性を知ることができたプロジェクトでした。もっとみんなで雑談もしたかった!」

安藤剛平(アンディ)さん「個人的には都会好きですが、種子島へ行き、そこで暮らす自分をリアルにイメージできました。ソーシャルな領域の支援活動を、これから本業にも近づけていきたい」

増永容啓(やす)さん「10人と大所帯でしたが、走りすぎなくらい走るチームでした!ハードルは高いものの、縁のある島で個人的に親善大使をやってみてもいいかな、と考えています」

日比野理人(あやとん)さん「村おこし旅は、“観光ではない地域との関わり方”を考えていた自分にとって、しっくりくる企画になりました。実現したら参加したいです」

締めくくりは、10人で2つのテーマを進行するという、負荷の高いこのプロジェクトのマネジャーを務め上げた塚田芙貴子(ふっきー)さんから。

「ECOFFさんも濃いですが、このチームのみなさんも濃くて、ここまで一緒にやってこられて楽しかったです。懇親会を必ず開きます。会いましょう!」

現地訪問も、チーム内の対面機会も限られた難しい環境の中、一大プロジェクトを完了させた10人の最後の一枚。

【プロジェクト進展】
12月9日〜2月3日 チーム内週次ミーティング(オンライン)
12月中旬〜 「村おこし旅」「親善大使」各チームミーティング及び作業(オンライン)
12月16日 ECOFF世話人との「村おこし旅」ミーティング(オンライン)
12月23日 ECOFFとの「親善大使」ミーティング(オンライン)
12月31日 ECOFFとの「村おこし旅」ミーティング(オンライン)
1月20日・21日 ECOFFとの「村おこし旅」「親善大使」ミーティング(オンライン)
2月9日 ECOFFへの最終報告会/ECOFF主催ワークショップ