勝山市のリピーターを獲得するためのニーズを整理する「マーケティング基礎調査」 (完)

福井県勝山市

勝山市観光まちづくり 株式会社

マーケティング基礎調査

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見出された可能性と課題と

アンケート調査の分析は、全回答から勝山在住者を除いた569件を対象に行いました。12月21日、分析結果をオンラインで報告。まちづくり会社からはマネージャーの今井三偉さんと本多啓介さんが参加しました。

農業体験に感度が最も高いのは、親子・ファミリー。次いで友人・知人、カップルの順でした。体験してみたい理由は、「子ども・孫によい経験をさせてあげたい」という意見が多いことが分かりました。

プロボノチームから提案したのは4つの農業体験。これに内容と価格、所要時間を加味した人気順は

1位 山菜採り体験
2位 そば打ち体験
3位 越のルビー(トマト)収穫体験
4位 里芋収穫体験

でした。山菜は、山を歩き自然を満喫できることが人気の理由。そば打ちは、体験したい人は多いが「価格が高い」という結果に。越のルビーの収穫体験は、短時間で手頃な価格がファミリー層にマッチしました。勝山の特産の里芋は、所要時間と価格の再検討が必要という結果になりました。

この結果は、今井さんの予想とは少し違ったものでした。
「そば・トマト・里芋・山菜の人気順を想定していました。山菜なんてどこにでもあるので、それが価値が高いとは、私たちの価値感と違うんですね。自然豊かな勝山だからこそというニーズがあるのかなとも思います。ただ、山菜の収穫は、土地の所有者への許可申請など実現へのハードルは高いです」

「こころよくアンケートに答えてくれる人が多かった」とプロボノワーカー
アンケート回答者には「里芋の煮っ転がし」をプレゼント

まちづくり会社は、さらに追加分析を依頼しました。それは「県外の観光客で“日帰り旅行”と“宿泊旅行”では、体験プログラムの印象に差があるのか?」ということ。そこで、プロボノチームは該当部分のデータを分析し、1月18日に追加報告を行いました。

その結果は意外なものでした。宿泊客は日帰り客に比べて、体験に対して肯定的。所要時間や価格も許容範囲が広く、里芋体験への興味も高いことが分かりました。まちづくり会社の本多さんは、宿泊客の優位性が分かってよかったといい、「今後は、宿泊客をよりねらっていかないといけないですね」とコメント。

一方、プロボノチームの福島朝子(ふく)さんは、この結果に疑問を呈しました。
「リピーターの獲得、という観点から考えると、リピーターになるであろう日帰り客が、あまり前向きでなかったのが気になります。リピーター獲得を考えるなら、日帰り客に評価が低かった所要時間を短くするなど、気軽に体験できる工夫が必要かもしれません。また、宿泊客がこんなにポジティブなら、体験を事前に知ってもらう工夫も必要ですよね」

プロジェクト完了。今後への展望は

最終報告となる「アンケート報告会」はオンラインで

この報告会が、今回のプロジェクトの最終日となりました。実は少し前に、プロボノチームからまちづくり会社に、「サービスを提供したい農家などを集め、ワークショップを開いたらどうか」と提案がありました。実現できそうな体験をピックアップし、課題の洗い出し、アクションプラン、ロードマップなどを作るのが目的です。しかし、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出を受け、残念ながら実現には至りませんでした。

それでも、まちづくり会社の今井さんは、今回のプロジェクトに十分な手応えを感じ、今後、体験型アクティビティを実行に移していきたいといいます。

「重要だけれど緊急性があるわけではないこの事業に対して、プロボノチームからアイディア、調査、提案をいただき、大変助かりました。また、いただいたマーケティング調査の報告書は、どれもとても見やすく分かりやすく貴重な資料となりました。やってみたいと考えている農家もいるので、この調査データを元に誘っていきたい。きっと農家のみなさんが一歩踏み出せるきっかけになるのではないかと思います。今年中に、事業として行えるよう仕込み、来年にはPRしていきたいですね。プロモーションなどで、プロボノワーカーのプロフェッショナルな知見もお借りしたく、これからも協力していただければ嬉しいです」

プロボノワーカーにとっても、勝山は特別な場所になりました。

「恐竜で半日だけではもったいない。地元の方との交流や自然に触れ、農業体験をしてどんどんはまっていく、勝山は滞在して魅力が分かる街です」(岡島周平<おかじ>さん)

「コロナで観光業は厳しい状況が続くなか、自然体験のアクティビティは伸びており、これは勝山にとってはチャンスだと思っています」(福島さん)

「4カ月間、勝山のことをずっと考えていましたし、家でもいつも勝山を自慢していたので、私と妻はリピーターです。今後も、長く勝山に関わっていきたいです」(古山直也<なおや>さん)

「まず、始めることが重要かなと思います。何かあればいろいろな情報などを提供したいと思いますし、私も機会があればワーケーションや遊びに勝山を訪れたいと思います」(村山緑<みどり>さん)

まちづくり会社の今井さんは、初めてのプロボノとの協働を振り返り、とても貴重な経験になったと語ります。

「プロボノチームとまちづくり会社のスタッフが交流することによって、スタッフも勉強になり成長できるというのが新しい発見でした。会社としては人材育成の課題もあり、外部の方と積極的に交流できるこのような機会は非常にありがたく感じました。 ただ初めてのことでしたので、正直、どのように受け入れるべきなのかというのは悩みました。どこまでいえばいいのか、今、プロボノチームがどのように考えているのかなど、試行錯誤の連続でした。しかし、2回目、3回目と積極的に参加していけば、人が違っても、コミュニケーションの取り方や、テーマの設定、チームの成果物の質など、受け入れサイドとしても準備ができます。地方の課題を大都市圏の人たちと共有し、解決できるのではないかなと考えています。これからも、プロボノのみなさんとの協働を行っていきたいと考えていますし、それを期待しています」

【プロジェクト進展】
11月17日〜20日 アンケート案作成
11月21日〜23日 アンケート調査(まちづくり会社が配布)
11月28日・29日 勝山訪問・アンケート調査 (プロボノチームとまちづくり会社が協働で配布)
11月30日〜12月20日 アンケート分析
12月21日 アンケート報告会
12月28日〜1月17日 まちづくり会社の依頼によるアンケート追加分析
1月18日 最終報告会

11月28、29日。プロボノチームが勝山へ2度目の訪問をした。今回は、道の駅「恐竜渓谷かつやま」で、まちづくり株式会社と共に、中間提案で有力コンテンツとして揚げた農業体験プログラムに関するアンケート調査を行う。試食用の里芋を配りながら、来訪した観光客にアンケート用紙を配布し、協力を依頼。前週の3連休も含め合計5日間で、目標の倍近くである683件の回答を得ることができた。

プロボノチーム

みどりさん(プロジェクトマネジャー)

ソフトウェア企画開発・新規事業のマーケティング。次のステージに向け、新しいフィールドを探したいと参加。

なおやさん(マーケッター)

エネルギー・モビリティ領域のインフラ開発・運営。地域活性化で社会貢献したいと参加。新しい出会いと新しい経験に期待。

ふくさん(マーケッター)

webメディアのプロダクトマネージャー。プロボノ活動は2回目で、前回、さまざまな分野の人と出会い、多くのことを学んだ。

おかじさん(マーケッター)

医療用医薬品メーカー営業。社会貢献に興味があり、チームでプロジェクト単位の仕事の仕方を学びたいと参加。

地域団体

地域概要

福井県北東部にある勝山市。古くは繊維の町として栄えた。全国から観光客が訪れる福井県立恐竜博物館があり、“恐竜のまち”として有名。

団体概要

勝山市観光まちづくり株式会社。2016年設立。観光協会に代わり、勝山市周辺の観光PR、人材育成や施設運営、商品開発やツアー開発などの事業に取り組む。

プロジェクト概要

観光客に「勝山市に再び来たい」と思わせる仕掛けづくり。「マーケティング基礎調査」によりニーズを把握、合致する観光資源について提案を行う。

11月28、29日。プロボノチームが勝山へ2度目の訪問をした。今回は、道の駅「恐竜渓谷かつやま」で、まちづくり株式会社と共に、中間提案で有力コンテンツとして揚げた農業体験プログラムに関するアンケート調査を行う。試食用の里芋を配りながら、来訪した観光客にアンケート用紙を配布し、協力を依頼。前週の3連休も含め合計5日間で、目標の倍近くである683件の回答を得ることができた。

プロボノチーム

みどりさん(プロジェクトマネジャー)

ソフトウェア企画開発・新規事業のマーケティング。次のステージに向け、新しいフィールドを探したいと参加。

なおやさん(マーケッター)

エネルギー・モビリティ領域のインフラ開発・運営。地域活性化で社会貢献したいと参加。新しい出会いと新しい経験に期待。

ふくさん(マーケッター)

webメディアのプロダクトマネージャー。プロボノ活動は2回目で、前回、さまざまな分野の人と出会い、多くのことを学んだ。

おかじさん(マーケッター)

医療用医薬品メーカー営業。社会貢献に興味があり、チームでプロジェクト単位の仕事の仕方を学びたいと参加。

地域団体

地域概要

福井県北東部にある勝山市。古くは繊維の町として栄えた。全国から観光客が訪れる福井県立恐竜博物館があり、“恐竜のまち”として有名。

団体概要

勝山市観光まちづくり株式会社。2016年設立。観光協会に代わり、勝山市周辺の観光PR、人材育成や施設運営、商品開発やツアー開発などの事業に取り組む。

プロジェクト概要

観光客に「勝山市に再び来たい」と思わせる仕掛けづくり。「マーケティング基礎調査」によりニーズを把握、合致する観光資源について提案を行う。

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見出された可能性と課題と

アンケート調査の分析は、全回答から勝山在住者を除いた569件を対象に行いました。12月21日、分析結果をオンラインで報告。まちづくり会社からはマネージャーの今井三偉さんと本多啓介さんが参加しました。

農業体験に感度が最も高いのは、親子・ファミリー。次いで友人・知人、カップルの順でした。体験してみたい理由は、「子ども・孫によい経験をさせてあげたい」という意見が多いことが分かりました。

プロボノチームから提案したのは4つの農業体験。これに内容と価格、所要時間を加味した人気順は

1位 山菜採り体験
2位 そば打ち体験
3位 越のルビー(トマト)収穫体験
4位 里芋収穫体験

でした。山菜は、山を歩き自然を満喫できることが人気の理由。そば打ちは、体験したい人は多いが「価格が高い」という結果に。越のルビーの収穫体験は、短時間で手頃な価格がファミリー層にマッチしました。勝山の特産の里芋は、所要時間と価格の再検討が必要という結果になりました。

この結果は、今井さんの予想とは少し違ったものでした。
「そば・トマト・里芋・山菜の人気順を想定していました。山菜なんてどこにでもあるので、それが価値が高いとは、私たちの価値感と違うんですね。自然豊かな勝山だからこそというニーズがあるのかなとも思います。ただ、山菜の収穫は、土地の所有者への許可申請など実現へのハードルは高いです」

「こころよくアンケートに答えてくれる人が多かった」とプロボノワーカー
アンケート回答者には「里芋の煮っ転がし」をプレゼント

まちづくり会社は、さらに追加分析を依頼しました。それは「県外の観光客で“日帰り旅行”と“宿泊旅行”では、体験プログラムの印象に差があるのか?」ということ。そこで、プロボノチームは該当部分のデータを分析し、1月18日に追加報告を行いました。

その結果は意外なものでした。宿泊客は日帰り客に比べて、体験に対して肯定的。所要時間や価格も許容範囲が広く、里芋体験への興味も高いことが分かりました。まちづくり会社の本多さんは、宿泊客の優位性が分かってよかったといい、「今後は、宿泊客をよりねらっていかないといけないですね」とコメント。

一方、プロボノチームの福島朝子(ふく)さんは、この結果に疑問を呈しました。
「リピーターの獲得、という観点から考えると、リピーターになるであろう日帰り客が、あまり前向きでなかったのが気になります。リピーター獲得を考えるなら、日帰り客に評価が低かった所要時間を短くするなど、気軽に体験できる工夫が必要かもしれません。また、宿泊客がこんなにポジティブなら、体験を事前に知ってもらう工夫も必要ですよね」

プロジェクト完了。今後への展望は

最終報告となる「アンケート報告会」はオンラインで

この報告会が、今回のプロジェクトの最終日となりました。実は少し前に、プロボノチームからまちづくり会社に、「サービスを提供したい農家などを集め、ワークショップを開いたらどうか」と提案がありました。実現できそうな体験をピックアップし、課題の洗い出し、アクションプラン、ロードマップなどを作るのが目的です。しかし、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出を受け、残念ながら実現には至りませんでした。

それでも、まちづくり会社の今井さんは、今回のプロジェクトに十分な手応えを感じ、今後、体験型アクティビティを実行に移していきたいといいます。

「重要だけれど緊急性があるわけではないこの事業に対して、プロボノチームからアイディア、調査、提案をいただき、大変助かりました。また、いただいたマーケティング調査の報告書は、どれもとても見やすく分かりやすく貴重な資料となりました。やってみたいと考えている農家もいるので、この調査データを元に誘っていきたい。きっと農家のみなさんが一歩踏み出せるきっかけになるのではないかと思います。今年中に、事業として行えるよう仕込み、来年にはPRしていきたいですね。プロモーションなどで、プロボノワーカーのプロフェッショナルな知見もお借りしたく、これからも協力していただければ嬉しいです」

プロボノワーカーにとっても、勝山は特別な場所になりました。

「恐竜で半日だけではもったいない。地元の方との交流や自然に触れ、農業体験をしてどんどんはまっていく、勝山は滞在して魅力が分かる街です」(岡島周平<おかじ>さん)

「コロナで観光業は厳しい状況が続くなか、自然体験のアクティビティは伸びており、これは勝山にとってはチャンスだと思っています」(福島さん)

「4カ月間、勝山のことをずっと考えていましたし、家でもいつも勝山を自慢していたので、私と妻はリピーターです。今後も、長く勝山に関わっていきたいです」(古山直也<なおや>さん)

「まず、始めることが重要かなと思います。何かあればいろいろな情報などを提供したいと思いますし、私も機会があればワーケーションや遊びに勝山を訪れたいと思います」(村山緑<みどり>さん)

まちづくり会社の今井さんは、初めてのプロボノとの協働を振り返り、とても貴重な経験になったと語ります。

「プロボノチームとまちづくり会社のスタッフが交流することによって、スタッフも勉強になり成長できるというのが新しい発見でした。会社としては人材育成の課題もあり、外部の方と積極的に交流できるこのような機会は非常にありがたく感じました。 ただ初めてのことでしたので、正直、どのように受け入れるべきなのかというのは悩みました。どこまでいえばいいのか、今、プロボノチームがどのように考えているのかなど、試行錯誤の連続でした。しかし、2回目、3回目と積極的に参加していけば、人が違っても、コミュニケーションの取り方や、テーマの設定、チームの成果物の質など、受け入れサイドとしても準備ができます。地方の課題を大都市圏の人たちと共有し、解決できるのではないかなと考えています。これからも、プロボノのみなさんとの協働を行っていきたいと考えていますし、それを期待しています」

【プロジェクト進展】
11月17日〜20日 アンケート案作成
11月21日〜23日 アンケート調査(まちづくり会社が配布)
11月28日・29日 勝山訪問・アンケート調査 (プロボノチームとまちづくり会社が協働で配布)
11月30日〜12月20日 アンケート分析
12月21日 アンケート報告会
12月28日〜1月17日 まちづくり会社の依頼によるアンケート追加分析
1月18日 最終報告会

(都市の社会人向け)