地域交流の場が地元に根付くことに貢献する「うみのアパルトマルシェ」業務マニュアルづくり (完)

富山県氷見市

うみのアパルトマルシェ実行委員会

活動運営マニュアル

←(3)へ

思考の言語化

中間提案後、プロボノチームは、村上さんが行う作業すべてを時系列で4フェーズに分け、1人1フェーズを担当してまとめていきました。

  • フェーズ1/開催3〜2カ月前の出店者募集や前回のマルシェのふり返りなど
  • フェーズ2/2〜1カ月前の開催告知
  • フェーズ3/1カ月前から開催前日までの出店配置検討や行政手続きなど
  • フェーズ4/開催当日の業務

フェーズ3・4は、11月15日のマルシェ開催時に情報収集はほぼ完了。そこで、村上さん、実行委員も加わって開かれたプロボノチーム週次ミーティングは、フェーズ1・2のヒアリングを中心に進められました。特にフェーズ1は、出店者募集や来場者アンケートの分析など、マルシェのコンセプトに直結する業務。しかし、その情報は村上さんの頭の中にしかありません。村上さんが「感覚でやってきた」ことを、担当の平林昌平(バヤシ)さんが、丁寧にヒアリング。ねらいや具体的な手法、インスタグラムにアップする時間帯や順番といった細部まで引き出しました。

12月19日は、プロボノチームから団体へのプラン提案。マニュアルの書式や使用ツールを決めました。マニュアルは、作業を16項目、45の小項目に分類。小項目にはそれぞれ「目的・内容・ポイント・事例」を設けました。マニュアルは作成中も常にGoogleドライブにドキュメントで保存。実行委員も加筆や更新、共有しやすいようにしました。

週次ミーティングでドラフトレビューも行い、マニュアルがほぼ完成した1月23日には、追加で準備した「業務マニュアル 鳥瞰図」を提案しました。これは、前回のプラン提案に対する村上さんのフィードバックに応え、作成したものです。村上さんは、「これまでプロボノチームからは100%以上のものをいただいています」とした上で、「マニュアルのプロローグのような、最初に見て、これなら私にもできそうと感じられる資料を追加してもらえないか」と相談。何十ページもあるマニュアルを見て、実行委員がマルシェ運営を負担に感じないよう、すべてのやるべきことが一目で分かる単純明快な資料が必要だという考えによるものでした。そこでプロボノチームは、作業内容が時系列で並び、必須作業が一目でわかる「業務マニュアル 鳥瞰図」を準備しました。

支援範囲を超えた提案も

1月30日、マニュアルの最終納品は、オンラインで行われました。完成したマニュアルは実に90ページ。すでにあった「出店者向けガイド」などのデータも、同じGoogleドライブに保存し、マニュアルにリンクを貼りました。マルシェ当日の具体的な作業には写真を多用。目的やポイントの記載からは、作業の裏にある村上さんの思いを感じ取ることができます。

マニュアル納品に加えて、今後の実行委員のチーム運営の参考に、プロボノチームのチームビルディング事例を紹介。プロボノチームも実行委員会も、ともにボランティア。プロボノチームは、ミッションに向かい、各プロボノワーカーが持っているスキルややりたいことを元に、自主性を持ってプロジェクトを進行してきました。実行委員会も同じように、メンバーのスキルややりたいことを元に、役割分担を行う運営方法を提案。こうした運営に役立てられるよう、マニュアルの小項目を並べ、各実行委員のやりたい項目を埋めていく表を作成し、提供しました。

説明が終わると、村上さんは「想像以上のマニュアルができた。自分の思いの整理ができ、自分では気づかなかった運営の提言ももらえ、とてもいい4カ月でした」と感謝しました。納品後は、オンライン懇親会を開催。全員が参加し、盛り上がりました。

週次のオンラインチームミーティングの様子
納品後のオンライン懇親会。乾杯!

それぞれの収穫

プロボノワーカーは、今回の経験を自身の仕事に還元できると感じています。「自分よりスキルが高い人たちをまとめ上げる経験ができました」と、プロジェクトマネジャーの山本涼太さん(やまちゃん)。一方、清水(あっきー)さんは「会社ではマネジャーなので、今回マネジメントされる側になって『マネジャーにこういうことやってもらえると助かるな』と気づきました」。フリーランスでキャリア相談を行う林昌平(バヤシ)さんは「キャリア形成の視点からいろんな学びが得られました」と話してくれました。

「(氷見を知って)市民の力でまちを変えていく、という活動を実際に見せてもらってとても勉強になりました」と言うのは野口陽菜さん(のぐっちゃん)。他のプロボノワーカーも「氷見の天気が気になるようになった」「また行きたい」と話し、氷見が特別な場所になりました。

納品時の村上さんの感謝の言葉が、プロボノを続ける理由と語るのは、プロボノ活動4回目の川口高史(ぐっち)さん。「支援先の期待以上のものを作り、『ここまでやってくれるんだ』と感じてもらえたとき、支援先とつながったと感じる」と教えてくれました。

納品後の変化

このマニュアルを元に、次回のマルシェへの計画が動き出しています。中心となっているのは、実行委員会のメンバーで商店街に住む竹添英文さんと、氷見で起業した北条巧磨さん。村上さんの力を借りて、まずは自分たちが運営できる小規模なマルシェに挑戦します。

竹添さんは、プロボノチームとのミーティングに参加して、商店街の当事者としての気持ちが高まったといいます。「街の存続に関心がありましたが、マルシェは必須ではないと思っていました。でも、ミーティングでみなさんの話を聞くうちに、今は街のブランディングのひとつとしてもマルシェを継続したほうがよいと考えています」。北条さんも「客観的な視点からマルシェを分析し、その可能性や伸びしろを教えてもらったことで、引き継ぐことに対する考え方も変わってきました」と言い、竹添さんと協働してマルシェ運営に携わりたいと考えています。

村上さんの後を誰が中心となって引き継ぐのか、最終納品日までには決まらなかったものの、プロボノチームの活動は、実行委員の意識を確実に変えていました。マニュアルが活かされるのは、これからです。

【プロジェクト進展】
12月5日 ・12日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
12月19日 プラン提案/プロボノチーム内ミーティング(オンライン)
12月26日・1月9日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
1月16日 ドラフトレビュー/プロボノチーム内ミーティング(オンライン)
1月23日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
1月30日 最終納品

中間提案後、プロボノチームではマニュアルを書き込んでいく作業が本格化。これまで、「うみのアパルトマルシェ実行委員会」(以下、実行委員会)でほとんどの作業を担ってきた村上史博さんが「感覚でやってきた」ことを、丁寧なヒアリングで引き出し、言語化していく。

プロボノチーム

やまちゃん(プロジェクトマネジャー) 

金融機関の総合職として海外子会社の経営管理を担当。2回目の参加。プロボノ活動の魅力は「会社じゃできないことができること」という。

あっきーさん(マーケッター) 

メーカーの人事マネジャー。東京五輪ボランティア延期をきっかけに参加。普段と異なる環境・立場での活動による気づきを期待。

ぐっちさん(マーケッター)

システム会社勤務。4回目の参加。「支援先とぐっと距離が近づく」瞬間にやりがいを感じて、プロボノ活動を続ける。

のぐっちゃん(マーケッター)

広告業界で審査業務を担当。プロボノ活動には以前から興味があり、転職とコロナ禍を機に、新しいことをやってみたいと参加。

バヤシさん(マーケッター)

フリーランスでキャリア相談を行う。個人としてのボランティア経験は多いが、チームとして問題解決する取り組みに挑戦したいと参加。

地域団体

地域概要

富山県の最西端、石川県との県境に位置する。人口約4万6千人(2020年11月1日現在)。富山湾に面し、漁業が盛ん。定置網にかかる出世魚ブリは、「ひみ寒ぶり」の名で有名。

団体概要

中心市街地の道路利活用事業として2017年に立ち上げ。「うみのアパルトマルシェ」の企画、運営、情報発信などを行なっている。

プロジェクト概要

実行委員会事務局として実務を担ってきた村上史博さんの退職にあたり、培ってきたノウハウ、コンセプトなども含めた運営マニュアルを作成。マルシェ継続のためスムーズな引き継ぎを目指す。

中間提案後、プロボノチームではマニュアルを書き込んでいく作業が本格化。これまで、「うみのアパルトマルシェ実行委員会」(以下、実行委員会)でほとんどの作業を担ってきた村上史博さんが「感覚でやってきた」ことを、丁寧なヒアリングで引き出し、言語化していく。

プロボノチーム

やまちゃん(プロジェクトマネジャー) 

金融機関の総合職として海外子会社の経営管理を担当。2回目の参加。プロボノ活動の魅力は「会社じゃできないことができること」という。

あっきーさん(マーケッター) 

メーカーの人事マネジャー。東京五輪ボランティア延期をきっかけに参加。普段と異なる環境・立場での活動による気づきを期待。

ぐっちさん(マーケッター)

システム会社勤務。4回目の参加。「支援先とぐっと距離が近づく」瞬間にやりがいを感じて、プロボノ活動を続ける。

のぐっちゃん(マーケッター)

広告業界で審査業務を担当。プロボノ活動には以前から興味があり、転職とコロナ禍を機に、新しいことをやってみたいと参加。

バヤシさん(マーケッター)

フリーランスでキャリア相談を行う。個人としてのボランティア経験は多いが、チームとして問題解決する取り組みに挑戦したいと参加。

地域団体

地域概要

富山県の最西端、石川県との県境に位置する。人口約4万6千人(2020年11月1日現在)。富山湾に面し、漁業が盛ん。定置網にかかる出世魚ブリは、「ひみ寒ぶり」の名で有名。

団体概要

中心市街地の道路利活用事業として2017年に立ち上げ。「うみのアパルトマルシェ」の企画、運営、情報発信などを行なっている。

プロジェクト概要

実行委員会事務局として実務を担ってきた村上史博さんの退職にあたり、培ってきたノウハウ、コンセプトなども含めた運営マニュアルを作成。マルシェ継続のためスムーズな引き継ぎを目指す。

←(3)へ

思考の言語化

中間提案後、プロボノチームは、村上さんが行う作業すべてを時系列で4フェーズに分け、1人1フェーズを担当してまとめていきました。

  • フェーズ1/開催3〜2カ月前の出店者募集や前回のマルシェのふり返りなど
  • フェーズ2/2〜1カ月前の開催告知
  • フェーズ3/1カ月前から開催前日までの出店配置検討や行政手続きなど
  • フェーズ4/開催当日の業務

フェーズ3・4は、11月15日のマルシェ開催時に情報収集はほぼ完了。そこで、村上さん、実行委員も加わって開かれたプロボノチーム週次ミーティングは、フェーズ1・2のヒアリングを中心に進められました。特にフェーズ1は、出店者募集や来場者アンケートの分析など、マルシェのコンセプトに直結する業務。しかし、その情報は村上さんの頭の中にしかありません。村上さんが「感覚でやってきた」ことを、担当の平林昌平(バヤシ)さんが、丁寧にヒアリング。ねらいや具体的な手法、インスタグラムにアップする時間帯や順番といった細部まで引き出しました。

12月19日は、プロボノチームから団体へのプラン提案。マニュアルの書式や使用ツールを決めました。マニュアルは、作業を16項目、45の小項目に分類。小項目にはそれぞれ「目的・内容・ポイント・事例」を設けました。マニュアルは作成中も常にGoogleドライブにドキュメントで保存。実行委員も加筆や更新、共有しやすいようにしました。

週次ミーティングでドラフトレビューも行い、マニュアルがほぼ完成した1月23日には、追加で準備した「業務マニュアル 鳥瞰図」を提案しました。これは、前回のプラン提案に対する村上さんのフィードバックに応え、作成したものです。村上さんは、「これまでプロボノチームからは100%以上のものをいただいています」とした上で、「マニュアルのプロローグのような、最初に見て、これなら私にもできそうと感じられる資料を追加してもらえないか」と相談。何十ページもあるマニュアルを見て、実行委員がマルシェ運営を負担に感じないよう、すべてのやるべきことが一目で分かる単純明快な資料が必要だという考えによるものでした。そこでプロボノチームは、作業内容が時系列で並び、必須作業が一目でわかる「業務マニュアル 鳥瞰図」を準備しました。

支援範囲を超えた提案も

1月30日、マニュアルの最終納品は、オンラインで行われました。完成したマニュアルは実に90ページ。すでにあった「出店者向けガイド」などのデータも、同じGoogleドライブに保存し、マニュアルにリンクを貼りました。マルシェ当日の具体的な作業には写真を多用。目的やポイントの記載からは、作業の裏にある村上さんの思いを感じ取ることができます。

マニュアル納品に加えて、今後の実行委員のチーム運営の参考に、プロボノチームのチームビルディング事例を紹介。プロボノチームも実行委員会も、ともにボランティア。プロボノチームは、ミッションに向かい、各プロボノワーカーが持っているスキルややりたいことを元に、自主性を持ってプロジェクトを進行してきました。実行委員会も同じように、メンバーのスキルややりたいことを元に、役割分担を行う運営方法を提案。こうした運営に役立てられるよう、マニュアルの小項目を並べ、各実行委員のやりたい項目を埋めていく表を作成し、提供しました。

説明が終わると、村上さんは「想像以上のマニュアルができた。自分の思いの整理ができ、自分では気づかなかった運営の提言ももらえ、とてもいい4カ月でした」と感謝しました。納品後は、オンライン懇親会を開催。全員が参加し、盛り上がりました。

週次のオンラインチームミーティングの様子
納品後のオンライン懇親会。乾杯!

それぞれの収穫

プロボノワーカーは、今回の経験を自身の仕事に還元できると感じています。「自分よりスキルが高い人たちをまとめ上げる経験ができました」と、プロジェクトマネジャーの山本涼太さん(やまちゃん)。一方、清水(あっきー)さんは「会社ではマネジャーなので、今回マネジメントされる側になって『マネジャーにこういうことやってもらえると助かるな』と気づきました」。フリーランスでキャリア相談を行う林昌平(バヤシ)さんは「キャリア形成の視点からいろんな学びが得られました」と話してくれました。

「(氷見を知って)市民の力でまちを変えていく、という活動を実際に見せてもらってとても勉強になりました」と言うのは野口陽菜さん(のぐっちゃん)。他のプロボノワーカーも「氷見の天気が気になるようになった」「また行きたい」と話し、氷見が特別な場所になりました。

納品時の村上さんの感謝の言葉が、プロボノを続ける理由と語るのは、プロボノ活動4回目の川口高史(ぐっち)さん。「支援先の期待以上のものを作り、『ここまでやってくれるんだ』と感じてもらえたとき、支援先とつながったと感じる」と教えてくれました。

納品後の変化

このマニュアルを元に、次回のマルシェへの計画が動き出しています。中心となっているのは、実行委員会のメンバーで商店街に住む竹添英文さんと、氷見で起業した北条巧磨さん。村上さんの力を借りて、まずは自分たちが運営できる小規模なマルシェに挑戦します。

竹添さんは、プロボノチームとのミーティングに参加して、商店街の当事者としての気持ちが高まったといいます。「街の存続に関心がありましたが、マルシェは必須ではないと思っていました。でも、ミーティングでみなさんの話を聞くうちに、今は街のブランディングのひとつとしてもマルシェを継続したほうがよいと考えています」。北条さんも「客観的な視点からマルシェを分析し、その可能性や伸びしろを教えてもらったことで、引き継ぐことに対する考え方も変わってきました」と言い、竹添さんと協働してマルシェ運営に携わりたいと考えています。

村上さんの後を誰が中心となって引き継ぐのか、最終納品日までには決まらなかったものの、プロボノチームの活動は、実行委員の意識を確実に変えていました。マニュアルが活かされるのは、これからです。

【プロジェクト進展】
12月5日 ・12日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
12月19日 プラン提案/プロボノチーム内ミーティング(オンライン)
12月26日・1月9日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
1月16日 ドラフトレビュー/プロボノチーム内ミーティング(オンライン)
1月23日 プロボノチーム内ミーティング/プロボノチームと団体のミーティング(オンライン)
1月30日 最終納品

(都市の社会人向け)